渡邊 愛子さん

人と猫が共に寺せに暮らしていけるよう
保護猫の世界をもっと伝えたい!

 福島県は、猫や犬の殺処分数で全国最多(2022年度/犬71匹、猫1158匹)を記録し続けています。10年前、「この現状を何とかしたい」と県内初の保護猫カフェを立ち上げ、1500匹以上の「幸せな譲渡」を果たしてきた渡邊愛子さんを訪ねました。

── 渡邊さんの活動の原動力は?

 何でしょう?ね?…犬や猫がいる家で育って「命を救いたい」という気持ちが強いのは間違いないです。でも、もともと飽きっぽくて何をしても長続きしなかったから、「忍耐強くなったな~私」と自分でもびっくりです。ただ、保護猫に関われば関わるほど、「ゴールはないな」と思います。譲渡の数は増えましたが、保護猫の数は減っていません。まだこれからなんです。

── 保護猫との出会いは?

 この活動は、保護した猫を連れていった病院で「この子を治したら責任を持って飼えますか?」と聞かれたことが始まりです。先生の質問の理由は「処分されるかもしれない保健所に自分が届けるのは嫌だ」と、そのまま病院に置いていこうとする人が後を絶たないためでした。そこから保護猫に興味を持ち調べてみると、飼い主の高齢化、多頭飼育崩壊などで棄てられたり、飼い猫なのに「迷い猫」として保健所に連れてこられる子もいることを知りました。

── 捨て猫や野良猫はなぜ減らない?

 登録義務のある犬に比べて、猫は室内飼いや不妊去勢手術、ワクチン接種への理解が少なく、猫の病気のことや、人と幸せに暮らしていくための飼育ルールが分からない人が多い。放し飼いによる思わぬ出産で子猫が棄てられ、事故に遭ったり、野良化して病気を媒介してしまうこともあります。すべてではありませんが、そういう子達が保護猫になるので、目の前の命を救うことと並行して、一人でも多くの人に保護猫の現状や飼育ルールを伝えていくことが大切なんですよね。

── これまでの啓発活動は?

 コロナ前は保健所で講習会をしていましたが、残念ながら今は休止中です。そこで昨年から、このカフェで参加者を募り「猫団議」をスタート。直近では「防災」をテーマに、ペットと安全に避難するための情報交換をしました。「こういう時はどうすればいい?」などいざという時の不安解消のヒントを得られるし、仲間のつながりもできて楽しいです。不定期ですが、今後も年に2~3回は続けていく予定です。皆さんも参加してみませんか?

── カフェ以外での活動予定は?

 うちの子ども達は母親を見てきたせいか、よく友達に「猫はお外に出しちゃダメだよ」「事故に遭うと危ないじゃん」なんて言っていました。コレコレ!って思います。公民館や幼稚園・小・中学校などお声掛けいただければ、喜んでお話しに伺いたいです!
 また夏には、啓発のための新事業として、キッチンカーの開業を予定しています。当面はカフェ駐車場で営業しますが、いずれはイベント会場などに出て、保護猫活動を伝える場を増やしていきたいと考えています。

── 読者の皆さんへ!

 ボランティアを含め、カフェのスタッフは猫たちの命に真剣に向きあい、24時間体制でお世話しています。健康管理を徹底し、病気になれば獣医さんと連携して全力で治療し、一匹一匹にとって里親さんと幸せな出会いができるようベストを尽くしています!猫たちに会いに遊びにきてください。好きでかわいがるだけじゃなく、小さな命と暮らしていく責任と豊かさについて考えながら、ドリンク片手に楽しい時間を過ごしましょう!

 

 
 

◆[プロフィール]◆

渡邊 愛子(わたなべ あいこ)さん
特定非営利活動法人保護猫カフェlove.lab活動理事長

 
48歳。
13年前、子猫を動物病院で
診てもらったことをきっかけに
保護活動を開始。
家事や子育てと両立しながら
県内初の保護猫カフェをオープン。
活動を地域に根づかせたいと
NPO法人を設立。
郡山市の保健所に収容された猫たちを
無償で預かり
ワクチン接種や健康管理を
しながら飼育。
これまで1500匹以上を譲渡。

 
 

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