小澤 啓子さん

作って、笑って、会話して!
とにかく、いっしょに食べてみて!!

 「郷土食は、自然の食材を使って、自然の寒さや暑さを味方にして作る暮らしの知恵」と語る小澤啓子さん。米作りから食品加工、販売までを家族とともに手掛け、諸先輩たちに学んだ故郷の知恵を未来へとつないでいます。

── 食品加工を始めたきっかけは?

 「おふくろの駅」の商品を開発販売してくれないかと町から声をかけられ、料理好きな友人たちと一緒に町の商品開発に携わりました。調理師免許をとり、うちのお米を使った加工品を作りはじめたんです。
 私が嫁いだ当時、おざわふぁ〜むは酪農や米作りが中心でした。リーマンショックでエサ代が高騰してスッパリと酪農をやめましたが、米だけでは経営が難しくなりお米を活用した商品を作るために地域の先輩方に聞き、調査をして2年後に加工所を立ち上げました。翌年に東日本大震災があり、風評被害も続きましたが…。なんとか加工品を作り道の駅で販売するに至りました。

── 作るのは地元の郷土食ですか?

 そう、阿武隈山系一帯で伝統的に食べられてきたものをやってます。どの地域もそうですが、郷土の料理って作り方も使う材料も土地や家によって少しずつ違うの。この家では米粉で作る、あの辺りは小麦粉を混ぜるという風に。だからレシピ作りは、冷蔵庫がない時代を知っている何十人もの町のおじいちゃんおばあちゃん達が頼りでした。「あの人の○○は美味いよ」と聞くと訪ねて行って教えてもらって。そうやって少しずつ形にした商品が「ごんぼっぱの凍み餅」や「あげまんま」です。

── この2品はどんな料理?

 凍み餅は、もち米やうるち米にごんぼっぱを混ぜた餅を冬の寒風で40日じっくり乾かしきった「最強の保存食」。水で戻して、油で揚げたり焼いたりして食べるんだけど、戻さなければ何十年も保存できます。
 「あげまんま」は、もともとは残りご飯をムダにしないよう古いご飯に味噌を練りこんだもの。それを、ゆでて食べるところは「ゆで餅」と呼んでいて、うちは揚げるから「あげまんま」と私が名前をつけました!

── 「みんなの家」の役割は?

 郷土食は他にも名もないものがいっぱいあるんです。いま残しておかないと分からなくなるし、聞けば聞くほど面白くて、独自にファイルにまとめてきました。
 次はこれを周りにどう伝えようかって考えて、8年前に町の人に廃材を分けてもらい、昔の牛舎を改装して造ったのが「みんなの家」。みんなで作って、みんなで食べる場所です。[フルドノタイム]もここで体験してもらっています。本業の米作りがあるから受け入れられる日は限られるけど、一組限定で民泊もやってます。

── 読者の皆さんへメッセージを!

 うちは、田んぼの土づくりから始めて、育苗して田植えして、管理して収穫したお米を原料にして加工品を作って、自分達で販売までやるので、お父さんと「うちの仕事は、究極の六次化だね!」って話しているんです。
 いまの若い人たちは、外に仕事があって家に長い時間はいられないでしょう?自家製や手作りなんて、なかなか出来ないはずです。そういう人達にも、ふるさとの味は知ってほしいし、伝えていってほしいから、とにかく色んな人に食べてほしい!季節によって出しているものは多少変わりますが、「おふくろの駅」で通年販売しているし、欲しい方は直接連絡をもらっても大丈夫。手元にあればいつでもお分けしますから、遠慮なく遊びに来てください!

 
 

◆[プロフィール]◆

小澤 啓子(おざわ けいこ)さん
ふるさと工房おざわふぁ~む

 
1957年12月生まれ
古殿町出身
4世代8人家族でお米作りを中心に
農業生産法人おざわふぁーむ(株)
郷土食研究室 ふるさと工房 おざわふぁ~むを運営
牛舎を再生し生まれた
ツクルバ・タベルバ・ツタエルバ
「みんなの家」で
食品加工や郷土食研究も。
 
 

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