松崎 祐行さん
天栄村の四季が流れていくような
きれいな日本酒を造っていきます。
2024年の全国新酒鑑評会で2年ぶりに金賞に返り咲いた松崎酒造。全国に根強いファンを持つ「廣戸川」を醸し続ける蔵元杜氏で、専務の松崎祐行さんに現在の想いを伺いました。
── 金賞受賞おめでとうございます!
ありがとうございます。近年はどの蔵も米の高温障害や猛暑対策に苦心していますが、うちでは昨年度金賞を逃したことで、造りをいちから変えるチャンスをもらえたと考えています。
今回はひとつひとつ工程を見直し、お米の吸水量を増やしたり、発酵期間を調整しながら、イメージする酒質に近づけていきました。改めて「ていねいに造る大切さ」を再確認することができ、それが良い評価につながったのだと思います。
── 鑑評会に出品を続ける理由は?
市販酒はその年のお米の特性をつかむことができるし、出品酒は蔵の技術を反映した挑戦ができます。どちらも、私たちが目指す「きれいな酒造り」へ向かうために必要なことです。
うちのベースは定番酒で、小さな蔵なのでできることは限られますが、アイテムを増やしていきたいという思いは持っています。いつか、皆さんと蔵人の気持ちが合致した時には意欲的にチャレンジしたい。そのためにも出品は続けていくつもりです。
── 6代目としてどんな蔵にしたい?
学生の時は須賀川に通っていましたが、おなじ県南エリアでも、天栄は一日の変化や季節にメリハリがあって、時間の流れが違うなと感じます。この蔵も、いつまでも天栄のゆったりした時間が流れる場所であって欲しいと思います。
会社としては、毎年すばらしい原料を生産してくださる米農家さん、蔵人とその家族、地元の皆さんが幸せになれるよう、細部にわたり配慮できる酒蔵を目指していきます。
── 小さい頃の思い出は?
敷地内に自宅がありますから、蔵で遊んだ思い出はたくさんあります。友だちと隠れんぼしたり、辺りに落ちている王冠集めをするのも楽しかったです。ただ、両親といっしょに夕食を食べた記憶があまりなくて。あの頃の父や母はそれだけ忙しかったんですね。なので、自分はできるだけ家族サービスしたいと思っています。
── 休日のリフレッシュ方法は?
夏場は酒造りが落ち着くので、毎年ちゃんと休暇をとって家族で旅行に出かけるようにしています。
それから、この仕事の醍醐味はなんといっても各地の飲食店さんや農家さんと知り合えるところ!おいしいお店や予約の取りにくいお店に家族と食べに行ったり、酒蔵仲間と飲むのも楽しみの一つです。どうしても仕事の話になっちゃうんですけど、気心が知れている人ばかりだから、気分転換になって気持ちが休まります。
── すかっとを読んだことは?
もちろん!知らない飲食店や新店情報もそうだし、すかっとを通して、他の蔵がいま何をしているのか知ることがよくあります。4月はフルドノタイムに出かけて、豊国酒造さんの壁画を見てきたばかりなんですよ。
県南の酒蔵はコミュニケーションを取り合いながら、もっと良いものを造りたい!と頑張っています。「日本酒は飲みなれない」「飲んだことがない銘柄がある」という読者の方は、県南のそれぞれの蔵の個性やこだわりの違いを楽しみながら味わってみて!とお伝えしたいですね。
◆[プロフィール]◆
松崎酒造株式会社
1984年12月28日生まれ、39歳。
天栄中学校/須賀川桐陽高等学校
帝京大学理工学部バイオサイエンス学科/
ハイテクプラザ清酒アカデミー職業能力開発校卒
2007年松崎酒造株式会社入社、2011年杜氏就任、
2018年 専務取締役就任
1892年創業の老舗酒蔵6代目。
杜氏就任以来、天栄産米「夢の香」にこだわる酒造りで
全国新酒鑑評会にチャレンジし、
10回連続金賞を受賞。
昨年度は入賞にとどまったが、
2023BYで11回目の金賞に輝いた。
2023年のG7広島サミットでは
「廣戸川」が夕食会で提供され話題に。