吉田 喜一さん

「何が」できるかを一番大切に。
~泉崎の新名物?!「なまず」の養殖奮闘記!~

 8年前から泉崎村でなまずの養殖を営む吉田喜一さん。「何ができるか」を考えた時に出会ったのが「なまずの養殖」だったそうです。
面白さや大変なこと、食材としてのなまずの魅力を伺いました。

── なまず養殖のきっかけを教えてください。

 長年にわたり、土木建築業を営んできた福南建設を3代目に譲ったのが8年前です。会長になったタイミングで「何か」新しいことに挑戦したいと考えたのがはじまりでした。ただ、「何か」を見つけるのが難しかったですね。利益を出すことよりも、まずは楽しみながら育てられる「何か」ってなんだろうと。うなぎ、かじかやすっぽんなどの養殖に比べると、「なまず」は比較的育てやすいということでやってみよう!と。友人が持っていた田んぼを借りて池を作るところから始まりました。

── 養殖で難しいことはありますか?

 埼玉県吉川市の農業パーク等へ赴き、勉強したりもしました。なまずを稚魚から育てて人工孵化をさせるのは現在の環境では難しいことなども分かり、今は10センチくらいになった稚魚を茨城県古河市から取り寄せて大きく育てています。全ての稚魚が大きななまずに育つとは限らず、だいたい6割くらいの生産量ですね。稚魚代、餌代や電気代なども掛かるので、なかなか採算は合わないですね。実際に養殖してみると、アオサギが狙いに来たり、年によっては稚魚がうまく育たないことなど苦労もありますが、採算が合わないからやらないではなく、「何が」できるかを考えることが大切だと思います。

── なまずの魅力を教えてください。

 子供の頃は、なまずも田植えの時にいたりして、囲炉裏に刺したりしてよく食べていたので自分にとっては馴染みもあるし、海外でもなまずは人気の高い食材だと思います。味はクセがなくて美味しいんです。ここではきれいな地下水だけで育ったなまずなので、ふっくらとした白身が楽しめて、唐揚げや天ぷらはもちろん、刺身にしても美味しい質の高いなまずです。

── これからの夢を教えてください。

 新型コロナの影響は大きかったですね。一時は2000匹ほど養殖していた時期もありましたが、今は800匹ほどになりました。これまでもテレビや雑誌などに取り上げられてきましたが、もっと泉崎の名物として大きく育ってほしいと思います。全国的には「なまずのフルコース」としてしゃぶしゃぶ、剌身、天ぷらなどが楽しめるところもあるようですので、美味しく育った泉崎のなまずが地元でも楽しめるようになったらいいですね。なまずを天ぷらにして丼にした「なま重(なまず重)」も美味しいですよ。近くでは、友人でもある「八幡屋」さんの会長も5年前から養殖に挑戦しています。なまずは顔もチャーミングなので、キャラクターとしても面白いですし、いつか釣りもできるようになったら楽しいですね。続けていくのも大変で苦労も多いですが、思えば、オイルショックやバブル崩壊、新型コロナなど色々な経験を乗り越えてきたので、先行きが見えない時代でも、育ててもらった人や場所に恩返しするつもりで身体が元気なうちは前向きに進んでいきたいですね。なまずの養殖に興味のある人がいたらどんどん声をかけてほしいです!
 

 
 

◆[プロフィール]◆

吉田 喜一(よしだ きいち)さん
株式会社福南建設 会長

 
泉崎村生まれ、泉崎村育ち。
75歳。
21歳のときに家業である
株式会社福南建設の前身となる吉田重機に就職。
42年前から株式会社福南建設として土木建築業を営む。
現在会長として、後進の育成に携わる。
8年前よりなまずの養殖をはじめ、
新しい泉崎村の名物食材として
注目を集めている。

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