片野 仁人さん

地元の魅力を地産地消から地産外商へ
~コロナ禍で生まれた「そばパスタ」で
 地元の魅力を届けていく~

 地元ならではの食材とあたらしさをハイブリッドした「そばパスタ」は県内外問わず多くの人に親しまれる商品になりつつあります。2015年設立の株式会社カタノ代表取締役片野仁人さんに、商品開発の経緯やコロナ禍を経た新しい視点の持ち方などお話を伺いました。

── 「そばパスタ」開発の経緯を教えてください

 今、白河市では白河ラーメンが親しまれ、県外でもその認知度が高まっています。でも、歴史的にはそばにも馴染みのある地域なんです。江戸時代後期、白河藩主を務めた松平定信公が冷涼な気候でも収穫できる「そば」の作付を奨励し、食べる楽しさと共に飢饉対策にも繋げた背景があります。
 弊社でこれまで扱ってきた乾麺のそばやうどんは、お歳暮やお中元の時期に需要が高まる商品です。逆に、年間を通してお買い求め頂くことが難しい商品でもあるなと感じていました。そばやうどんには生めんもあるし冷凍品もある。そしてカップ麺という選択肢もある。外食もある。このように選択肢が多い中で、お店に行って乾麺のそばやうどんを購入し、日常的に調理していただくことには難しさも感じていました。
 一方で、同じ乾麺でもパスタは日常的に利用されていると感じる機会がありました。実際にスーパーでも広くパスタコーナーが設けられていますし、コロナ禍でパスタが品薄になりニュースで報道されたこともありました。こうしたことから、白河らしいご当地パスタを商品化しようと考えました。
 「そばパスタ」は2020年12月に完成した商品なんです。時代が平成から令和へと移り変わる中で、白河らしい商品を作っていこうと考えたのが2020年のはじめでした。そばパスタが完成した時期はちょうどコロナ禍真っ只中。はじめは飲食店とそばパスタのメニュー開発等を行い、新しいご当地グルメを目指していたのですが、コロナ禍では難しい状況になってしまい、改めてコロナの影響を実感しましたね。そこで目線を物販へとシフトし、ご当地商品として「そばパスタ」を全国的に売り出していくことにしました。

── 開発から販売へ、どんな展開をされていますか?

 そばパスタは、「そば」が含まれていることで、通常のパスタよりタンパク質が約15%、食物繊維が約45%多く、日本人が昔から口にしていた乾麺の製法で作られています。パスタとは異なる、どこか馴染みのある独特なモチモチ食感に仕上がっています。また乾麺なので日持ちも良く、常温での保存もできるんです。コロナ禍から物販をメインに移行してきた結果、今ではすかがわ観光物産館「flatto」や福島県観光物産館など県内はもちろん、那須、仙台、日本橋ふくしま館「MIDETTE」など全国的に販路を広げつつあり、年間2万束ほどの売れ行きになりました。また、ふくしま満天堂2021においてグランプリを獲得することもできました。

── これからのビジョンを教えてください

 コロナ禍でできたそばパスタですが、ようやく商談会などが制限なく開催されるようになってきて、積極的に参加しています。地元のものを地元で消費する地産地消はもちろん、外への発信も行い地産外商に繋げていきたいです。時代の変化を柔軟に受け容れながらチャレンジし、毎日考え続けることをやめずに続けていきたいですね。この冬までに新しいお菓子の商品開発を目指しています。そばパスタ同様、白河にちなんだ商品を考えているところです。そばパスタの販路開発は本当にゼロからのスタートでしたが、ここまで積み上げてきた販路が活きてくる時だと考えています。
 

 
 
◆[プロフィール]◆

片野 仁人(かたの まさと)さん
株式会社カタノ
代表取締役

 
白河第三小学校、白河中央中学校、
白河高校、立教大学卒業後、
食品メーカーに7年間勤務。商品開発を担当。
30歳を迎えて帰郷。
2015年株式会社カタノ代表取締役に就任。現在42歳。
東北の玄関口 福島県白河市にあり、
ふくしま満天堂2021において
グランプリを獲得した「そばパスタ」をはじめ、
様々な乾麺商品を取り扱う。
また、環境に優しい
「硫黄コーティング肥料」をはじめとする
肥料農薬取扱業、
米穀集荷業も営む。

前の記事

大泉 周也さん

次の記事

吉田 喜一さん