味戸雄二郎さん
支えあいの精神を発揮し
“オール須賀川”で乗り切りましょう!
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、福島県内で最初に飲食業などの中小企業・小規模事業者への支援を打ち出した須賀川市。
コロナ禍にある地元飲食店・旅館・宿泊業のいまと今後について、商工会議所旅館料飲部 味戸部会長にお聞きしました。
── まずは現状について教えて下さい。
6月に入ってほとんどのお店が再開し、ほっとしています。特に個室を設けているお店や常連の多いお店は少しずつ客数が戻ってきているようです。ただ、営業時間を短くしたり、夜は予約のみにするなど限定的です。それから、厳しい状況に対応しようとテイクアウトを始めたお店が増えました。
旅館・宿泊業については、どうしても県外からの利用が多いため、本格始動にはまだ時間が必要ですね。
── 旅館料飲部会として、どんな対策を行ってきたのですか。
4月初旬に市内で感染者がでて客数の減少が始まりましたので、すぐにテイクアウトサービスのチラシを作成配布しました。テイクアウトは今後、飲食業の売上を支えるサービスの一つになっていくと思いますから、第2弾の作成も行う予定です。
また、各店には日本フードサービス協会発行の外食業の事業継続のためのマニュアルを配布しました。商工会や飲食業組合の会員か否かにかかわらず、旅館・旅行業に対しても引き続き配布を進めます。
── 県内でいち早く、事業者支援を打ち出しましたね。
はい。テイクアウトチラシの配布とあわせ、料飲部会として市に飲食店・旅館・旅行業者向け給付金を要望しました。4月中旬には制度内容が決まり、下旬に申請受付、5月には支給を開始しました。家賃補助や各種助成金など独自支援も早急にまとめてもらうことができました。
現在は、すべての外食業を支援できるよう提案しています。家賃補助も、家賃負担のない自宅経営のお店も対象にしてほしいと働きかけているところです。
── 会議所や飲食業組合の所属を問わずに、ですか。
そうです。新型コロナウイルス感染症との闘いは先が見えないものですから、オール須賀川で対応しなければならないと思っています。
第2弾のテイクアウトチラシは、商工会や飲食業組合に所属していない個人店や業者にも声をかけるつもりです。会費の代わりに、数千円程度の出稿負担をしてもらうことで、他のお店とおなじように情報を発信できるようにしたいと考えています。
── 他ではあまり聞くことのない取り組み方ですね。
例えば、「すかがわ食彩 地産地消 食の感謝祭」をスタートさせた時、他の会議所から「なぜ須賀川はこういう取り組みがすぐにできるんですか」と聞かれたことがありますが、これが須賀川気質じゃないかと思うんですね。
ふだんはライバルでも、誰かが「いいアイデアだからやろうよ!」と声をかけると、垣根を超えて「やろう!やろう!」とみんなが集まってくる。個人的には、震災の経験も大きいとも思いますが、「情けは人のためならず」というか…この街には、自分に利があるから動くのではなく「動けば、みんな喜ぶから」「支えあうのは当たり前」という互助精神がしみ込んでいると思うんです。だから今回も、オール須賀川、オール飲食業で取り組めば必ず乗り切れるはずです!
◆[プロフィール]
味戸 雄二郎(あじとゆうじろう)
1957年11月須賀川市生まれ
ホテルサンルート須賀川 専務取締役。須賀川商工会議所旅館料飲部会長、中小企業同友会須賀川地区会長などの要職を歴任。
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本業の他、多くの団体で役職を兼任する須賀川のキーパーソン。長年、「スケジュールが1日でも空くと寂しい」と自身が話すほどの多忙つづきだが、「そろそろ、夫婦でゆっくり旅行にでも行けたら…」とひそかに画策中とか。