鈴木 文健さん

目標は、後悔しないように生きていくこと。
俳優業も福島のゴミゼロも諦めず続けていきます。

 福島中央テレビ『ゴジてれChu!』のコーナーでゴミ拾い活動を続ける「ブンケン」さんこと、俳優の鈴木文健さん。2年に渡る活動を通したふるさとへの想い、テレビでは伝えきれない地元愛あふれるエピソードを伺いました。
 

── 俳優になってから海外留学した経緯は?

 実は、大学2年までプロのサッカー選手になりたかったんです。でも、プロの世界はとても厳しくて。怪我もあリあきらめました。それで以前から興味を持っていた俳優になろうと活動を始めました。
 卒業後もバイトをしながら俳優業を続けましたか、2016年に映画『ラ・ラ・ランド』で主演したライアン・ゴズリングの演技に衝撃を受け、「ハリウッドで成功する俳優になりたい!それなら英語だ!」と思い立ってカナダヘ。1年2ヶ月、海外生活を続けました。

── 「ゴミ拾いの旅」出演のきっかけは?

 渡航前の2016年、冨岡町の避難指示解除にあわせた福島中央テレビ主催のイベントに、福島県出身の俳優として呼んでもらったことがきっかけです。ただ、その直後にカナダ留学し、帰国後もしばらくこ縁はなかったのですが、2020年の1月、中テレさんから「ゴミ拾いの企画があるけどやらない?」と、声をかけてもらったんです。「もちろん喜んでやります!」と二つ返事で引き受けました。

── 2年間で拾ったゴミの量は?

 スタートから丸2年で拾ったゴミの総量は7トン超。歩いた距離は、総延長で1,200kmくらいです。
ゴミを拾う場所は国道沿いで、現段階で県内の国道はひと通リ回りました。いまは二巡目に入ったところ。最近は、視聴者の皆さんから「ここも汚いよ」という声が寄せられるようになったので、教えていただいた場所で拾ったりもしています。

── ゴミ拾いを続ける原動力は?

 故郷である福島県に貢献したい気持ちからです。僕にとっては、子どものころからの思い出がいつばい詰まった大切な場所だし、大好きな人もたくさん暮らしている。おじいちゃんやおばあちゃんに連れて行ってもらった場所が汚れていたら、嫌だな、悲しいな、という想いが芯にあるから、続けられるんだと思います。

── ゴミから学ぶことは?

 ゴミの少ないきれいな街は、住民の皆さんの横のつながりが強く「他の人のことを思って、棄てないんだな」と分かるようになりましたし、街はきれいでも国道が汚いと、「通行する人が『地元じゃないから構わない』と、平気で棄てていっているんだな」と想像できます。ゴミを見ていると、地域の特色がよく分かるんですよ。

── ちなみに、どんなゴミが多い?

 粗大ゴミは拾えませんが、冷蔵庫などの家電は多いですね。だけど、ダントツは『おしっこボトル』です。おそらく長距離トラックや自家用車でドライブ中に、車中でペットボトルに用を足して、車窓から投げ棄てられたものが、一か所で何百本というレベルで落ちているんです。これ、地域の皆さんにとっては「映してほしくないもの」ですよね?でも、現状を知ってもらうことが必要だと僕は考えます。だから、ありのまま視ていただくことで、「お互いに思いやりの心を育てましょう」というメッセージを伝えたいと思っています。

── すかっと読者の皆さんに一言!

 「福島をもっと良くしたい」という、僕の小さな想いから、勝手にゴミ拾いを続けているのに、逆に、皆さんから差し入れをいただいたり、「ありがとう!」「頑張ってね!」と声をかけていただけて凄く嬉しいです!今年で3年目、もっと隅々まで福島をきれいにしていきたいと思っているので、これからも応援してください!
 
 

◆[プロフィール]◆
鈴木 文健(すずき ぶんけん)さん
俳優

1990年9月26日、郡山市生まれ
冨岡高校・順天堂大学卒
中学・高校はサッカ一部に所属。
冨岡高校時代はサッカ一部のキャプテンとして国体出場を経験。
2011年に俳優デビュー。
2017年~2019年にカナダヘ留学、
2019年1月に帰国以降、
テレビCM・舞台出演のかたわら、
福島中央テレビ『ゴジてれChu!』のコーナー
[ブンケン歩いてゴミ拾いの旅](毎週月曜15時30分~)に出演中。
2021年5月「中テレSDGsアンバサダー」に就任。
 
 

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